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【日本語教育能力検定】言語転移と誤用/ミステイク、グローバル・ローカルエラー、語用論的転移、中間言語、言語間エラー・言語内エラー

【日本語教育能力検定】言語転移と誤用受身文
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今日の過去問まとめノートは、言語転移と誤用です。

過去問では、言語転移と誤用に関する問題が、

  • R1-Ⅰ-問題10-問1、2
  • H30-Ⅰ-問題4-問1、2
  • H29-Ⅰ-問題9-問3、4
  • H26-Ⅰ-問題9-問1~4
  • R1-Ⅲ-問題2-問4
  • R1-Ⅲ-問題10-問5
  • H28-Ⅲ-問題10-問1、2、5
  • H28-Ⅲ-問題11-問3、4

にありました。

このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。

このブログを読む前の注意点
【日本語教育能力検定】独学まとめノート(過去問分析)を見る前に知ってもらいたいこと2020年10月日本語教育能力検定合格に向けて、養成講座の先生から教えてもらった効率的な勉強法を実践しています。過去問を元に自分のまとめたノート(解説)を載せています。...

言語転移と誤用の基礎知識

言語転移と誤用は、赤本P280~に載っています。

転移

第二言語の学習過程において、母語あるいは第一言語からの影響を受けること。

正の転移

文法や音声、文字などの共通点が、習得を促進させる可能性があること。

負の転移

母語あるいは第一言語が、第二言語習得の妨げになること。

誤用分析

学習者の誤りを分析することで、第二言語習得過程の解明に繋げること。

ミステイク

ついつい間違えてしまうタイプの誤り。すぐに訂正ができる。

エラー

言語能力不足が原因で起こる誤り。

  • グローバルエラー・・・コミュニケーション上、大きな支障を与えるエラー。
  • ローカルエラー・・・コミュニケーション上、影響が少ないエラー。

プラグマティック・トランスファー(語用論的転移)

誤用の中でも、文法的な間違いではなく、母語の影響を受けた不適切な表現使用。

言語間エラー

第一言語と第二言語との差異から生じるエラー。母語の影響を受けた誤り。

言語内エラー

第一言語との違いからではなく、第二言語の学習の不完全さから起きるエラー。

  • 過剰一般化(過剰般化)・・・言語規則を、過剰に適用した結果生じるエラー。
  • 簡略化・・・言語規則を単純化させることによって生じるエラー。

中間言語

第二言語学習者独自の発展途上にある言語体系。

有標性差異仮説

第二言語に第一言語と異なる部分があるとき、

  • 有標(複雑で特殊)のとき・・・学習が困難
  • 無標(単純で一般的)のとき・・・学習が容易

であるという概念。

過去問から学ぶ言語転移と誤用

ミステイクとエラー

  • R1-Ⅰ-問題10-問1
  • H28-Ⅲ-問題10-問1
  • ミステイク・・・その場限りの誤り。言語運用の失敗。
  • エラー・・・複数回にわたって生じる誤り。言語能力の欠如。

中間言語

  • R1-Ⅰ-問題10-問2
正用と誤用を繰り返しながら学習者の言語が変化していく現象は、中間言語に可変性があることを示している。

誤用分析研究の問題点

  • H29-Ⅰ-問題9-問4
  • 学習者の目標言語習得の全体像を捉えるのは難しい。
  • 一時的な言い間違いと系統的な誤用との区別は難しい。
  • 学習者が意図的に使用を回避した形式はデータに現れない。

母語の転移

  • H26-Ⅰ-問題9-問3
母語が同じでも、性格や学習スタイルなどにより転移の起き方は大きく異なる。

過剰般化

  • H28-Ⅲ-問題10-問2
例・・・「この本は面白いじゃありません。」(ナ形容詞の規則をイ形容詞にも適応)

語用論的転移

  • H26-Ⅰ-問題9-問4
  • R1-Ⅲ-問題10-問5
  • H28-Ⅲ-問題11-問3
例・・・

  • 英語母語話者が教師に、「先生は私に漢字を書いてほしいですか。」
  • 人に物を勧める際に、母語を直訳して「欲しいですか。」
  • 英語母語話者が誘う場面で、「飲みに行きたいですか。」
  • H28-Ⅲ-問題11-問4
母語と目標言語との言語間の距離を近いと感じている場合に起こりやすい。

負の転移

  • R1-Ⅲ-問題2-問4
例・・・英語母語話者が「月(つき)」を[sukji](※jはkの右上)と発音する。(歯茎破擦音が語頭に現れないため。)



言語転移と誤用に関する過去問の解説

日本語教育能力検定の過去問解説

R1-Ⅰ-問題10-問1 正解:2

エラーとミステイクについて問われています。

  • エラー・・・複数回にわたって生じる誤り
  • ミステイク・・・その場限りの誤り

正解は2です。

R1-Ⅰ-問題10-問2 正解:3

正用と誤用を繰り返しながら、学習者の言語が変化していく現象は、何に可変性があることを示しているか問われています。

  1. 定着化
  2. 習得順序
  3. 中間言語
  4. 素朴概念

中間言語は、第二言語学習者独自の発展途上にある言語体系のことです。

正用と誤用を繰り返しながら、学習者の言語が変化していく現象と同一です。

正解は3です。

H30-Ⅰ-問題4-問1 正解:2

グローバルエラーの例が問われています。

  1. それはいいと思います。(だ不要)・・・ローカルエラー
  2. それは友達もらった本です。(が→に)・・・グローバルエラー
  3. 先週、温泉に行きます。(行きました)・・・ローカルエラー
  4. これを見ってください。(見て)・・・ローカルエラー

2:友達もらったのか友達もらったのかで、意味が違います。

正解は2です。

H30-Ⅰ-問題4-問2 正解:1

言語内の誤りの例が問われています。

  1. 面白いじゃないです。・・・言語内エラー
  2. 教えることができますか。・・・言語間エラー
  3. X:お見合いをレストランですることがあります。
    Y:ああ、これは私の国でもありますよ。・・・言語間エラー
  4. X:ここは素晴らしいですね。
    Y:ええ、また来なければなりません。・・・言語間エラー

正解は1です

H29-Ⅰ-問題9-問3 正解:3

誤りの種類について問われています。

  1. 言語間の誤り/過剰般化で生じた誤り×→○母語干渉による誤り
  2. 言語内の誤り/母語干渉による誤り×→○過剰般化、簡略化による誤り
  3. 全体的な誤り(グローバルエラー)/相手の理解に支障を来す誤り○
  4. 局部的な誤り(ローカルエラー)/教師の指導に起因する誤り×→○相手の理解に支障を来さない誤り

正解は3です

H29-Ⅰ-問題9-問4 正解:4

誤用分析研究の問題点について不適当なものが問われています。

1~3は正しいです。

4:誤用分析は、たくさんの学習者の誤用を分析が求められるため、データ数は限られません。

正解は4です。

H26-Ⅰ-問題9-問1 正解:2

グローバルエラーの例が問われています。

  1. たくさん勉強したので、日本語は私に易しくなりました。・・・ローカルエラー
  2. 私は友達に日本語を教えてくれました。・・・グローバルエラー
  3. 日本留学に決心して、一生懸命勉強しました。・・・ローカルエラー
  4. 今、妹は図書館に勉強しています。・・・ローカルエラー

2:私が教えたのか、友達が教えたのか分からないので、

コミュニケーション上、大きな支障を与えるエラー=グローバルエラーです。

正解は2です。

H26-Ⅰ-問題9-問2 正解:4

過剰般化について問われています。

過剰般化は、

「この本は面白いじゃありません。」(ナ形容詞の規則をイ形容詞にも適応)のように、

4:学習した規則を、適用できない範囲にまで拡大することで起きます。

正解は4です。

H26-Ⅰ-問題9-問3 正解:3

母語の転移について問われています。

3:母語が同じでも、性格や学習スタイルなどにより転移の起き方は大きく異なります。

正解は3です

H26-Ⅰ-問題9-問4 正解:2

語用論的転移の例について問われています。

語用論的転移=プラグマティック・トランスファーは、

誤用の中でも、文法的な間違いではなく、母語の影響を受けた不適切な表現使用です。

英語母語話者が教師に、

「先生は私に漢字を書いてほしいですか」と言うのは、英語の影響を受けています。

正解は2です。

R1-Ⅲ-問題2-問4 正解:1

負の転移の例が問われています。

英語母語話者が「月(つき)」を[sukji](※jはkの右上)と発音するのは、歯茎破擦音が語頭に現れないためだそうです。

正解は1です。

R1-Ⅲ-問題10-問5 正解:3

語用論的転移の例が問われています。

  1. ナ形容詞の過去の規則をイ形容詞にも適応する。・・・過剰一般化
  2. 可能形が苦手なため「動詞+ことができる」を使用する。・・・言い換え
  3. 人に物を勧める際に、母語を直訳して「欲しいですか。」と聞く。・・・語用論的転移
  4. 尊敬語を習った直後に、相手に関係なく尊敬語を多用する。・・・過剰一般化

正解は3です。

H28-Ⅲ-問題10-問1 正解:4

ミステイクとエラーについて問われています。

  • ミステイク・・・言語運用の失敗
  • エラー・・・言語能力の欠如

によるものです。

正解は4です。

H28-Ⅲ-問題10-問2 正解:3

過剰般化の例が問われています。

3:「この本は面白いじゃありません。」は、

ナ形容詞の活用方法を、イ形容詞にまで拡大しています。

正解は3です。

H28-Ⅲ-問題10-問5 正解:3

中間言語分析について問われています。

中間言語は、第二言語学習者独自の発展途上にある言語体系です。

中間言語分析は、

3:学習者の正用・誤用両方を含めた目標言語の使用を研究対象としています。

正解は3です。

H28-Ⅲ-問題11-問3 正解:2

英語母語話者の語用論的転移の例が問われています。

語用論的転移=プラグマティック・トランスファーは、

誤用の中でも、文法的な間違いではなく、母語の影響を受けた不適切な表現使用です。

2:「飲みに行きたいですか。」と誘うのは、英語の影響を受けています。

正解は2です。

H28-Ⅲ-問題11-問4 正解:1

語用論的転移が起こりやすい場合が問われています。

1:母語と目標言語との言語間の距離を近いと感じている場合に起こりやすいです。

目標言語での表現を意識しないまま、母語の表現を適応するためです。

正解は1です。



【日本語教育能力検定】言語転移と誤用まとめ

以上、言語転移と誤用のまとめでした。

この項目もたくさん出ていました。

参考文献

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