今日の過去問まとめノートは、フィードバックと意味交渉です。
過去問では、フィードバックと意味交渉に関する問題が、
- H30-Ⅰ-問題4-問4、5
- H28-Ⅰ-問題10-問2
- H26-Ⅰ-問題8-問4
- R1-Ⅲ-問題11-問2
- H30-Ⅲ-問題11-問4
- H30-Ⅲ-問題13-問4
- H28-Ⅲ-問題13-問5
にありました。
このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。
フィードバックの基礎知識
フィードバックは赤本P223、229に載っています。
リキャスト
学習者が間違えた時のフィードバックの1つで、間違えたことを明確に伝えるのではなく、暗示的に示す方法。
例・・・
学習者:週末はとても楽しいでした。
教師:そうですか。楽しかったですか。
暗示的フィードバック(暗示的訂正)
誤用をはっきりと指導せず、自然な受け答えの中で正しい用法を示し、学習者自身が自分の誤用に気づくようにさせる方法。
リキャストは、暗示的フィードバックの1つ。
明示的フィードバック(明示的訂正)
誤用をはっきりと指摘して文法の理解を促す方法。
意味交渉の基礎知識
意味交渉は、赤本P223、295に載っています。
意味交渉
ストラテジーの1つで、
- 明確化要求
- 確認チェック
- 理解チェック
から成る。
ロングはインターアクション仮説の中で、意味交渉をすることが、言語習得を促進すると唱えた。
明確化要求
相手の発話が不明確で理解できないとき、発言を明確にするよう要求すること。
確認チェック
相手の発話を、自分が正しく理解しているかどうか確認すること。
理解チェック
自分の発話を、相手が正しく理解しているかどうかを確認すること。
過去問から学ぶフィードバックと意味交渉
口頭訂正フィードバック
- H30-Ⅰ-問題4-問5
リキャスト
- H28-Ⅰ-問題10-問2
プロンプト
- H30-Ⅲ-問題11-問4
フィードバックと意味交渉に関する過去問の解説
H30-Ⅰ-問題4-問4 正解:2
学習者に言い直しを求めるフィードバックの名称が問われています。
- 直接訂正
- 明確化要求
- 誘導
- 繰り返し
正解は2です。
H30-Ⅰ-問題4-問5 正解:4
発話に対する「口頭訂正フィードバック」について問われています。
例えば、作文のフィードバックだと
- 構成
- 談話の流れ
などのフィードバックもできますが、
口頭訂正フィードバックは、
- 文法
- 表現
など形式面へのフィードバックが主です。
正解は4です。
H28-Ⅰ-問題10-問2 正解:2
リキャストについて問われています。
- 誤りがあったことを知らせ適切な表現を提示すること
- 会話の流れを保ったまま適切な表現を提示すること
- 間違えた表現を繰り返し、自己修正を促すこと
- 「えっ」と聞き返して、自己修正を促すこと
リキャストは、
学習者:週末はとても楽しいでした。
教師:そうですか。楽しかったですか。
のようにそれとなく教師が適切な表現を言います。
正解は2です。
自己修正を促すことは、プロンプトと言います。(赤本記載なし)
- リキャスト・・・それとなく教師が言い直すもの。
- プロンプト・・・明確化要求、誘導、繰返しなど、学習者に言わせるもの。
(参考:新田豊『2016年 日本語教育の検定問題を解く: 平成28年度 日本語教育能力検定試験 解答と解説 Kindle版』)
H26-Ⅰ-問題8-問4 正解:3
インターアクション仮説の意味交渉
- 明確化要求
- 確認チェック
- 理解チェック
に当たらないものが問われています。
- 分からない言葉があったときに、もう一度言ってもらう。・・・明確化要求
- 分からない言葉があったときに、意味を説明するように頼む。・・・明確化要求
- 言われたことについて、より詳細な関連情報を相手に求める。・・・×
- 言われたことについて、自分の理解が正しいかどうか相手に求める。・・・確認チェック
3が当てはまりません。正解は3です。
R1-Ⅲ-問題11-問2 正解:4
リキャストの例が問われています。
教師:これを知りたいんですが、どうしたらいいですか。
学習者:インターネットで見る、できます。
教師:インターネットで見られますか。
のようにリキャストは、それとなく教師が適切な表現を言います。
正解は4です。
H30-Ⅲ-問題11-問4 正解:4
プロンプトの具体例が問われています。
プロンプトは、赤本も用語集も記載がありませんが、過去問にあるので覚えておいた方が良さそうです。
学習者:湖がとてもきれかったです。
教師:「きれい」はナ形容詞ですよ。
学習者:あ、湖がとてもきれいでした。
のように、学習者に訂正を促すのがプロンプトです。(prompt=促す)
正解は4です。
H30-Ⅲ-問題13-問4 正解:4
意味交渉の例が問われています。
- 相手が話していることに興味がないので、話題を変える。
- 間違えると相手に失礼なので、敬語の使用を避ける。
- 自分の理解が正しいか確認したいので、提示質問をする。
- 自分の話が正しく伝わったか心配なので、確認する。・・・理解チェック
正解は4です。
3も正しく見えましたが、提示質問(ディスプレイ・クエスチョン)は、自分が答えを知っていて尋ねる質問なので、意味交渉になりません。
H28-Ⅲ-問題13-問5 正解:3
意味交渉の例として不適当なものが問われています。
- 「じゃあ、留学してんですね。」と自分の理解が正しいか確認する。・・・確認チェック
- 「私の話、分かりましたか。」と相手が理解できたか確認する。・・・理解チェック
- 「よくわからなくてすみません。」と理解できなかったことを謝る。×
- 「どういうことでしょうか。」と理解のためにさらに情報を求める。・・・明確化要求
正解は3です。
【日本語教育能力検定】フィードバックと意味交渉まとめ
以上、フィードバックと意味交渉のまとめでした。
過去問中に出てきた提示質問の過去問まとめはこちらです↓
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