今日の過去問まとめノートは、連声・連濁・転音・転訛形です。
本題の前に・・・
【日本語教育能力検定から感染予防のお知らせが出ています】
ツイッターで教えてもらったのですが、
試験当日、ヘルスチェック表の提出が必要のようです。
詳しくはJEES 公益財団法人 日本国際教育支援協会のホームページをご覧ください。
自己ヘルスチェック表がダウンロードできます。
過去問では、連声・連濁・転音・転訛に関する問題が、以下にありました。
- H30-Ⅰ-問題1-(6)
- H28-Ⅰ-問題3-C-(14)
- H27-Ⅰ-問題3-B-(9)~(11)
- H30-Ⅱ-問題6-3番
- H29-Ⅱ-問題5-2番-問1
- H26-Ⅱ-問題6-1番
- H29-Ⅲ-問題4-問3~問5
今日は初めて試験Ⅱ(聴解問題)の過去問についても絡めていきます。
皆様、聴解問題の練習はもう始めていますか?
私は過去問解説本をAmazon Kindleで読んで「聴解問題しないと!」と、やっと重い腰を上げました。
この本の中で、
<試験Ⅱ(聴解問題)>
- 最もパターン化している
- 検定に特化した準備をしないと、対応力はつかない
ということが書かれています。他にも問題ごとの解き方が書いてありおススメです。
出来るだけ早く過去問に取り組み、日にちを置いて何度か繰り返す
ことが必要だそうです。
もしまだ取り組んでいなければ、早めに取り組むのが良さそうです。
ということで、聴解問題のCDを聞き始めたのですが、
聴解問題でも文法知識が問われるのですね!
そこで今日は試験Ⅱで出てくる文法知識も確認します。
このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。
連声・連濁・転音・転訛形の基礎知識
連声(れんじょう)
赤本P162に載っています。
前項末尾のn、m、tが、後項のア行、ヤ行、ワ行音に影響を与えて、新たにタ・ナ・マ行音を生じる現象。
例)観音(かんおん→かんのん)、因縁(いんえん→いんねん)
連濁
赤本P109に載っています。
形態素の先頭の無声子音が有声子音に変化すること。
例)甘酒(あまさけ→あまざけ)、雨傘(あまかさ→あまがさ)
転音
転音は赤本には載っていません。
2語が連なって複合語をつくる際に音が変わること。
例)雨傘(あめがさ→あまがさ)
転訛形(てんかけい)
こちらも赤本に載っていませんが、過去問に出てきます。
語の本来の音がなまって変化すること。
「でっしゃろ」「まんねん」など、いかにもこてこての関西弁などの方言が分かり易いです。(参考:村中淑子online関西方言におけるデスマス体の転訛形についての試論)
なまると聞くと、上記の方言のようなものを思い出しますが、
例)やめておく→やめとく、してるの→してんの
のように言いやすい言い方(単に方言とは言えないような)も含まれます。
連声・連濁・転音・転訛形の覚え方
同じような名前で覚えづらいので、私は以下のように覚えました。
用語名 | 例 | 私の覚え方 |
連声 | 観音 | 声・・・声に出して言いやすいように変わる(「かんおん」は言いづらい) |
連濁 | 雨傘 | 濁・・・濁(にご)る(「かさ」→「がさ」) |
転音 | 雨傘 | 転・・・転じる(「あめ」→「あま」) |
転訛形 | まんねん | 訛・・・訛(なま)る |
連声・連濁・転音・転訛形に関する過去問の解説
H30-Ⅰ-問題1-(6)【転訛形】正解:2
- やめとく→やめておく・・・転訛形
- すっごく→すごく
- してんの→してるの・・・転訛形
- 帰らなきゃ→帰らないと・・・転訛形
- やっちゃいなよ→やってしまいなよ・・・転訛形
2以外はなまっているので、転訛形です。
2「すっごく」はなまっているわけではなく、強調の「っ」が入っているだけです。転訛形ではありません。
正解は2です。
H28-Ⅰ-問題3-C-(14)正解:2
連声の例が問われています。
- 舟歌
- 観音
- 国旗
- 小雨
「かんおん」→「かんのん」は、声に出して言いやすいように変わる連声です。
正解は2です。
H27-Ⅰ-問題3-B-(9)正解:2
連濁について問われています。
- 和語は連濁しやすいが、外来語はほとんど連濁しない。○
- 外来語は連濁することもあるが、漢語は連濁しない。×
- 前後の母音に、無声子音が同化するために連濁する。○
- 二つの要素で一語化していることを示す。○
2:漢語も連濁することがあります。(例:合羽(かっぱ)→雨合羽(あまがっぱ))
正解は2です。
H27-Ⅰ-問題3-B-(10)正解:4
「ライマンの法則」の例外が問われています。
ライマンの法則・・・複合語の後部要素に濁音が含まれていると連濁しにくい。
- 「えりまき」+「とかげ」→×「えりまきどかげ」
- 「ひとり」+「たび」→×「ひとりだび」
(参考:新田豊『2017年 日本語教育の検定問題を解く: 平成29年度 日本語教育能力検定試験 解答と解説 Kindle版』)
- 鳩時計・・・はとどけい
- 口癖・・・くちぐせ
- 帰り支度・・・かえりじたく
- 縄梯子・・・なわばしご
ライマンの法則によれば、4:「はしご」が濁音が含まれるので、「なわはしご」となるはずですが、「なわばしご」と「は」も連濁するので、例外と言えます。
正解は4です。
H27-Ⅰ-問題3-B-(11)正解:1
前部要素と後部要素の意味関係によって連濁しにくい例が問われています。
- 「魚の尾と鰭(ひれ)」の「尾鰭(おひれ)」・・・「尾と鰭」=並列構造
のように、並列構造は連濁が生じにくいです。
1:前項動作が後項動作と並列の関係になっている場合は、連濁しにくい
正解は1です。
H30-Ⅱ-問題6-3番 正解:a
Ⅱの聴解問題です。
学習者が「雨傘」を「あめがさ」と言います。転音が起こっていません。
- a 転音が起こっていない
- b 音位転換が起こっていない
- c 連声が起こっていない
- d 連濁が起こっていない
正解はaです。
H29-Ⅱ-問題5-2番-問1 正解:d
Ⅱの聴解問題です。
- a 省略
- b 対比
- c 数詞・助数詞
- d 転訛形
こちらの問題は会話が長いので過去問聴解のCDを聞いていただきたいのですが、転訛形は出てきません。
正解はdです。
H26-Ⅱ-問題6-1番 正解:a
Ⅱの聴解問題です。
学習者が「腕時計」を「うでとけい」と言います。
- a 連濁が起こっていない
- b 音位転換が起こっていない
- c 逆行同化が起こっていない
- d 子音添加が起こっていない
連濁が起こっていません。正解はaです。
H29-Ⅲ-問題4-問3 正解:3
連濁の有無が異なる理由が問われています。
- 「魚の尾と鰭(ひれ)」の「尾鰭(おひれ)」
- 「魚の体の後ろ端にある鰭(ひれ)」の「尾鰭(おびれ)」
上記の例を元に考えます。
- 「魚の尾と鰭(ひれ)」・・・「尾と鰭」=並列構造
- 「魚の体の後ろ端にある鰭(ひれ)」・・・「尾の鰭」=修飾構造
なので、
3:修飾構造より並列構造のほうが意味的な結合度が低いので連濁が生じにくい
と言えます。正解は3です。
H29-Ⅲ-問題4-問4 正解:2
「リゾート」と「ホテル」を足しても「リゾートボテル」とならない理由が問われています。
理由は「ホテル」が外来語だからです。正解は2です。
例外もありますが、
2:外来語は連濁しにくい
と過去問を元に覚えます。
H29-Ⅲ-問題4-問5 正解:3
以下の例のように、連濁を生じにくくする要因の一つを学習者に理解させる指導例が問われています。
- 「えりまき」+「とかげ」→×「えりまきどかげ」
- 「ひとり」+「たび」→×「ひとりだび」
赤本にないので、過去問の答えから覚えます。
3:「とかげ」「たび」に注目させ、濁点が含まれていることを確認させる。
正解は3です。
これをライマンの法則と言うそうです。
ライマンの法則・・・複合語の後部要素に濁音が含まれていると連濁しにくい。
- 「えりまき」+「とかげ」→×「えりまきどかげ」
- 「ひとり」+「たび」→×「ひとりだび」
(参考:新田豊『2017年 日本語教育の検定問題を解く: 平成29年度 日本語教育能力検定試験 解答と解説 Kindle版』)
連声・連濁・転音・転訛形の過去問まとめ
以上、連声・連濁・転音・転訛形のまとめでした。
Ⅱの聴解問題でもこれらの文法知識がでてくるので、覚えておいた方が良さそうです。
「あめがさ」と学習者が言い間違えてるのは分かるのに、それがなんという文法知識なのか
知らないともったいないからです。(転音です。)
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