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【日本語教育能力検定】読む技能の指導/トップダウン、ボトムアップ、ジグソー・リーディング、スキミング

【日本語教育能力検定】読む技能の指導
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今日は、読む技能の指導です。

過去問では、読む技能の指導に関する問題が、

  • H28-Ⅰ-問題6-問1~3
  • H28-Ⅰ-問題9-問5
  • R1-Ⅲ-問題8-問3
  • H30-Ⅲ-問題7-問1、3、4、5

にありました。

このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。

このブログを読む前の注意点
【日本語教育能力検定】独学まとめノート(過去問分析)を見る前に知ってもらいたいこと2020年10月日本語教育能力検定合格に向けて、養成講座の先生から教えてもらった効率的な勉強法を実践しています。過去問を元に自分のまとめたノート(解説)を載せています。...

読む技能の指導の基礎知識

読む技能の指導は、赤本P225~にあります。

トップダウン処理

背景知識や常識を利用し、予測や推測しながら理解していく言語処理方法。

ボトムアップ処理

細かい部分から理解を進める言語処理方法。

スキミング

全体をざっと把握して大意をつかむこと。

スキャニング

不要な部分は飛ばして必要な情報のみを探し、特定の情報をつかむこと。

ピア・リーディング

学習者同士が対話し、助け合いながら理解していく読解活動。

過去問に学ぶ読む技能の指導

スキミング

  • H28-Ⅰ-問題6-問1
  • R1-Ⅲ-問題8-問3
  • 活動例・・・地方都市の過疎化に関する新聞記事に目を通し、大意を把握する。
  • テーマに関する文章を読み、文章全体の大まかな意味を理解する。

ボトムアップ的な読み

  • H28-Ⅰ-問題9-問5
  • 図や表を用いて詳細を整理しながら読み、文章全体を理解する。
  • 文章中の指示語が何を意味しているか確認しながら読み進める。
  • 接続詞に注目し、文と文との関係を考えながら読み進める。

ジグソー・リーディング

  • H28-Ⅰ-問題6-問2
  • H30-Ⅲ-問題7-問1、3、4、5
活動例・・・グループのメンバーが短編小説の異なる部分を読み、互いに読んだ内容を報告して全体のストーリーを再構成する。
教材

  • 例・・・短編小説。
  • 適している・・・○論説文、出来事が時系列で書かれた説明文、既習語彙で読み進められる小説文。
  • 適さない・・・×広く知られている物語。(全体構成が共有されていると適さない。)
工程例

  • 前準備・・・結末部分以外の本文を数個に分けて学習者に配る。
  1. 各自内容を理解する。
  2. 同じパートを読んだ人同士で話し合う。
  3. 異なるパートを読んだ人が互いに話し合う。(担当者が読んだ内容を伝え、互いに質問しあいながら内容を確認する。)
  4. 発表する。(大事な言葉を強調するために、ポーズを入れることに留意する。)
  5. 結末を予測する。
ねらい

  • 異なるパートの内容を関連付けて統合する過程で、教材全体の理解を深める。
  • グループで1つの課題に取り組むことで、社会的関係性の構築を促す。
  • 同じパートを読んだ人同士の話し合いの中で、自分の理解したことを吟味させる。

多読

  • H28-Ⅰ-問題6-問3
読み進められなくなったら、他の本を読む。



読む技能の指導に関する過去問の解説

日本語教育能力検定の過去問解説

H28-Ⅰ-問題6-問1 正解:3

スキミングの活動例が問われています。

  1. 旅行のパンフレットから、自分に合う日程と予算のツアーを見つける。
  2. 科学論文の専門用語の意味を日本語で説明する。
  3. 地方都市の過疎化についての新聞記事に目を通し、大意を把握する。
  4. 論説文を読み、因果関係を示す表現を抜き出す。

全体をざっと読んで、大意をつかむのがスキミングです。

正解は3です。

H28-Ⅰ-問題9-問5 正解:3

ボトムアップ的な読みを行う際の不適当な例が問われています。

1、2、4は正しいです。

3:重要な言葉や文に注目し、他の箇所は読み飛ばして大意を理解する読み方は、トップダウン的な読みです。

正解は3です。

H28-Ⅰ-問題6-問2 正解:2

ジグソー・リーディングの活動例が問われています。

  1. 評論文を読み、語彙の意味・文法・内容を1つずつ確認する。
  2. 短編小説の異なる部分を読み、互いに読んだ内容を報告して全体のストーリーを再構築する。
  3. 評論文を読み、内容を確認したあと、筆者の主張を批判的に検討する。
  4. 同じ短編小説を読み、登場人物の性格や行動について話す。

2:各自異なる部分を読んで、繋ぎ合わせていくのがジグソー・リーディングです。

また学習者間に情報差があり、それぞれの理解・報告を組み合わせて構成して初めて全体像を捕まえられます。
(参考:新田豊『2016年 日本語教育の検定問題を解く: 平成28年度 日本語教育能力検定試験 解答と解説 Kindle版』

正解は2です。




H28-Ⅰ-問題6-問3 正解:3

多読のルールが問われています。

多読は自分のレベルに合った興味のある本を読むことです。

3:読み進められなくなったら他の本を読みます。

正解は3です。

R1-Ⅲ-問題8-問3 正解:2

スキミングスキルを使って読む例が問われています。

  1. 文章を読み、文法や文構造を理解する。
  2. 文章を読み、全体の大まかな意味を理解する。
  3. 意見文を読み、一文ずつ事実と意見とに分類する。
  4. 図表を見て、必要な情報を探す。

スキミングは、文章を読んで全体の大まかな意味を理解します。

正解は2です。

H30-Ⅲ-問題7-問1 正解:4

ジグソー・リーディングで不適当な教材が問われています。

  1. 論理の構成が明確な論説文○
  2. 出来事が時系列で書かれた説明文○
  3. 既習語彙で読み進められる小説○
  4. 広く内容が知られている物語×

例えば「赤ずきんちゃん」のように広く知られている物語は、内容を知っているため、ジグソー・リーディングに向きません。

正解は4です。

H30-Ⅲ-問題7-問3 正解:3

ジグソー・リーディングで「異なるパートを読んだ人が互いに話し合う」工程の活動について問われています。

3:担当者が読んだ内容を伝え、互いに質問しあいながら内容を確認します。

正解は3です。

H30-Ⅲ-問題7-問4 正解:1

ジグソー・リーディングで「発表する」工程の活動の留意点について問われています。

1:大事な言葉を強調するために、その語の前にポーズを入れると、分かり易いです。

正解は1です。

H30-Ⅲ-問題7-問5 正解:2

ジグソー・リーディングの授業のねらいで不適当なものが問われています。

2:グループで競って読むことにより、早く読む力をつけるためではありません。

正解は2です。



読む技能の指導まとめ

以上、読む技能の指導のまとめでした。

過去問中に紹介した過去問解説本は、Amazon Kindleで読むことができてお勧めです。


2019年 日本語教育の検定問題を解く: 令和元年度日本語教育能力検定試験 解答と解説

参考文献

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