今日から「1.社会・文化・地域」分野に入ります。
初回は、異文化接触です。
過去問では、異文化接触に関する問題が、
- H30-Ⅰ-問題8-問1
- H30-Ⅰ-問題15-問1、3、4
- H30-Ⅲ-問題16-問5
- H29-Ⅰ-問題14-問4
- H27-Ⅰ-問題8-問1~4
- H26-Ⅰ-問題14-問1
- R1-Ⅲ-問題13-問4
- H30-Ⅲ-問題9-問3
- H29-Ⅲ-問題13-問2
にありました。
このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。
異文化接触の基礎知識
異文化接触は、赤本P355~に載っています。
定住者
入管法上、在留資格「定住者」を取得した者のこと。1990年入管法改正で定められた。就労に制限がない。
インドシナ難民
1975年ベトナム、ラオス、カンボジアが相次いで社会主義化し、新体制下で弾圧を恐れる人、新体制になじめない人たちが大量に国々から脱出した。
中国帰国者
中国残留孤児、残留婦人それぞれの呼び寄せ家族の総称。1984年中国帰国者定着促進センターが開設された。(2015年閉所)
低文化(スモールシー文化)
日常の生活文化、習慣・行動・価値観など見えない文化。
高文化(ラージシー文化)
文学、歴史、音楽、美術など見える文化。
ステレオタイプ
人々をグループ化し、その集団に対して固定的なイメージを持つこと。そのイメージ。
カテゴリー化
人を何らかの属性や特徴に基づいてまとめて捉えること。
自文化適応・文化化
人がある文化圏に生まれて、その文化に適応すること。
アコモデーション理論
相手によって自分の話し方を調節する現象を説明する理論。
- 収束・・・心理的距離を近づける。例)年配の人が若者と心理的距離を近づけるために若者言葉を使う。
- 分岐・・・心理的距離を遠ざける。例)どの地方でも自分の出身地の方言を使い続ける。
の2種類がある。
- ウチ集団・・・母語を話す集団
- ソト集団・・・目標言語を話す集団
をどのように捉えるかが言語習得に関わると考えられる。
『菊と刀』
ベネディクトが日米の文化を比較して書いた書物。日本と西洋の文化の違いを「恥」と「罪」などのキーワードで比較し、日本文化を恥の文化とした。
『タテ社会の人間関係』
中根千枝が書いた文化論の書物。日本をタテ社会、西洋をヨコ社会とし、日本のタテ社会はウチとソトの関係を基盤としているとした。
過去問から学ぶ異文化接触
カテゴリー化
- H27-Ⅰ-問題8-問1
外集団に対する偏見や差別
- H27-Ⅰ-問題8-問4
エンパワーメント
- H30-Ⅲ-問題16-問5
異文化接触に関する過去問の解説
H30-Ⅰ-問題8-問1 正解:4
文化化について問われています。
文化化=自文化適応とは、
4:個人が成長する過程で所属集団の様々な文化的要素を身に付けていくこと。
正解は4です。
H30-Ⅰ-問題15-問1 正解:1
小文字のcの文化が問われています。
- 生活習慣、価値観・・・スモールシー文化
- 漫画、アニメーション・・・ラージシー文化
- 歌謡曲、落語・・・ラージシー文化
- 文学、建築物・・・ラージシー文化
正解は1です。
H30-Ⅰ-問題15-問3 正解:3
『菊と刀』について問われています。
3:西洋文化と対比させながら日本文化の特性を示したものです。
正解は3です。
H30-Ⅰ-問題15-問4 正解:1
『タテ社会の人間関係』について問われています。
1:日本の集団構成は、家や会社といった「場」の共有に基づくものであると説明しています。
正解は1です。
H29-Ⅰ-問題14-問4 正解:3
定住者の就労について問われています。
定住者は就労に制限がないです。
3:活動内容に制限はなく自由な就労が認められています。
正解は3です。
H27-Ⅰ-問題8-問1 正解:4
カテゴリー化について問われています。
カテゴリー化とは、情報処理における一般的な傾向だそうです。
正解は4です。
H27-Ⅰ-問題8-問2 正解:1
ステレオタイプについて不適当なものが問われています。
ステレオタイプとは、人々をグループ化し、その集団に対して固定的なイメージを持つことです。
1:「Xさんはいつも授業に遅れてくるから、今日も遅れてくるだろう」かというのは、グループ化した人々のイメージではないのでステレオタイプではありません。
正解は1です。
H27-Ⅰ-問題8-問3 正解:3
内集団と外集団について不適当なものが問われています。
カテゴリー化やステレオタイプは、
3:外集団に対してよりも内集団へのほうが成員同士を均質的に捉えやすいとは、言えません。
正解は3です。
H27-Ⅰ-問題8-問4 正解:1
外集団に対する偏見や差別について問われています。
1:肯定的な自己評価を確立したいという動機によって生じます。
正解は1です。
H26-Ⅰ-問題14-問1 正解:1
1980年代の日本語教育について当てはまらないものが問われています。
- インドネシア政府派遣技術研修生の受入開始
- 日本語教育能力検定試験開始・・・1988年
- 留学生受入10万人計画が策定・・・1983年
- 中国帰国孤児定着促進センター(後:中国帰国者定着促進センター)開設・・・1984年
正解は1です。
R1-Ⅲ-問題13-問4 正解:2
アコモデーション理論のうちダイバージェンスの例について問われています。
アコモデーション理論とは、
相手によって自分の話し方を調節する現象を説明する理論
ダイバージェンスは、分岐です。
- 収束・・・心理的距離を近づける。例)年配の人が若者と心理的距離を近づけるために若者言葉を使う。
- 分岐・・・心理的距離を遠ざける。例)どの地方でも自分の出身地の方言を使い続ける。
- 両親が幼い子どもに対して、育児語で話しかける。・・・コンバージェンス・収束
- 地方出身者が故郷への愛着を示すため、上京しても東京出身者に方言で話す。・・・ダイバージェンス・分岐
- 上司が若い部下との雑談の時に受け入れてもらおうとして若者言葉で話す。・・・コンバージェンス・収束
- 米国からの帰国者が、英語の授業で目立たないように日本式の発音で英語を話す。・・・コンバージェンス・収束
心理的距離を遠ざけるダイバージェンス(分岐)は2です。
正解は2です。
H30-Ⅲ-問題9-問3 正解:3
過度のカテゴリー化の例が問われています。
3:中学生の息子・娘がスマホが離せない。今の中学生はみんなスマホ依存症。
というのは過度のカテゴリー化です。
正解は3です。
H30-Ⅲ-問題16-問5 正解:1
定住外国人に対する日本語教育に大切な外国人のエンパワーメントについて問われています。
1:自らの内在する力に基づき、全面的に発揮できるような環境や他者との関係を作り上げることです。
正解は1です。
H29-Ⅲ-問題13-問2 正解:3
アコモデーション理論の例について不適当なものが問われています。
アコモデーション理論とは、
相手によって自分の話し方を調節する現象を説明する理論
- 収束・・・心理的距離を近づける。例)年配の人が若者と心理的距離を近づけるために若者言葉を使う。
- 分岐・・・心理的距離を遠ざける。例)どの地方でも自分の出身地の方言を使い続ける。
を考えてみます。
- 校長先生が小学生がわかるようにやさしい表現で話す。・・・コンバージェンス・収束
- 東北出身者が、方言使用に否定的な友人に対して方言を強調して話す。・・・ダイバージェンス・分岐
- 姑のいる場で、妻が夫に対していつもより丁寧な口調で話す。×
- 旅行代店の社員が、契約しそうな客の話すスピードと同じ速度で話す。・・・コンバージェンス・収束
3はアコモデーション理論ではありません。
正解は3です。
異文化接触の過去問まとめ
以上、異文化接触のまとめでした。
「1.社会・文化・地域」分野は、年代が関係して情報が古いものもありますので、年代に関わる問題は省いています。
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