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【日本語教育能力検定】社会言語学/地域方言、社会方言、ピジン、クレオール、新方言、ネオ方言、周圏分布型、位相語

【日本語教育能力検定】社会言語学
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今日の過去問まとめノートは、社会言語学です。

過去問では、社会言語学に関する問題が、

  • R1-Ⅰ-問題11-問1~5
  • H28-Ⅰ-問題11-問1~5
  • H26-Ⅰ-問題12-問2
  • H30-Ⅲ-問題12-問2~5
  • H29-Ⅲ-問題14-問1~5
  • H27-Ⅲ-問題12-問1
  • H27-Ⅲ-問題14-問1~5

にありました。

Coco
Coco
この分野は方言など、特に専門的な話が多いため、用語説明と過去問紹介になります。

このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。

このブログを読む前の注意点
【日本語教育能力検定】独学まとめノート(過去問分析)を見る前に知ってもらいたいこと2020年10月日本語教育能力検定合格に向けて、養成講座の先生から教えてもらった効率的な勉強法を実践しています。過去問を元に自分のまとめたノート(解説)を載せています。...

社会言語学の基礎知識

社会言語学は、赤本P340~に載っています。

地域方言

地域による異なった言語形式。

  • 周圏分布型・・・言語形式が中心から同心円状に波及しているタイプ。例)かたつむり
  • 東西分布型・・・言語形式が東日本と西日本で対立するタイプ。例)東:いる-西:おる 東:ない-西:ぬ

社会方言

ジェンダー(性差)、年齢、職業など位相による言語形式の違い。

新方言

若い人が標準的でない言い方をくだけた場面で使うこと。

ネオ方言

新方言と類似した概念で、ある場面におけるスピーチスタイルとして捉えたもの。例)「こーへん」=「こない」+「けーへん」

役割語

ある言語表現が特定の人物を思い起こさせるような表現。例)わし、~じゃ

位相語

ジェンダー、年齢、職業など言語の違いをもたらす社会的要因のこと。例)幼児語、若者言葉、隠語、専門用語

方言撲滅運動

明治以降日本各地で言語の標準語化政策が推し進められたこと。方言を使うと方言札を首からぶら下げられた。

ピジン

異なる言語を話す人が出会い、意思疎通のためにお互いの言語の要素を混成してつくられた言語。

クレオール

ピジンがある地域で長期間使用されているうちに、その地域の共通言語として使用されるようになったもの。



過去問から学ぶ社会言語学

若者言葉の使用目的

  • H28-Ⅰ-問題11-問2
  • 人に聞かれて都合が悪いことを隠すため。
  • マイナス評価の語の印象を冗談めかして和らげるため。
  • 会話に笑いを生じさせて楽しむため。

ピジン

  • H26-Ⅰ-問題12-問2
  • 複合語や繰り返しが多い。
  • 文法が単純化される。
  • 単語の意味範囲が広い。
  • 発音が簡略化される。

方言が肯定的に受け止められている例

  • H29-Ⅲ-問題14-問2
  • 一部地域の方言が、マスメディアを通して全国に広がり使われている。
  • 共通語が公的な場で使用される一方、方言は仲間内のくつろぎの場面で使用される性格が強くなった。
  • 方言が、生活言語からその土地のイメージを創出する機能を持つ言語へ変わりつつある。

方言コスプレ

  • H29-Ⅲ-問題14-問3
自分が演じたい人物像や雰囲気に合わせて、その時々に方言を用いる。

方言を守る・活用する取り組み

  • H29-Ⅲ-問題14-問5
  • 医療従事者向けに医療現場で使用される方言のデータベースを提供。
  • 「危機的な状況にある言語・方言サミット」が文化庁によって開催。
  • 歓迎挨拶の方言をキャッチフレーズとして使用した観光誘致。

東西分布型の地域方言

  • H30-Ⅲ-問題12-問2
例・・・

  • 「聞かない」-「聞かん」
  • 「雨だ」-「雨じゃ」
  • 「いる」-「おる」

社会言語学に関する過去問の解説

日本語教育能力検定の過去問解説

R1-Ⅰ-問題11-問1 正解:2

職業による集団語の例が問われています。

2:「言い間違える」を意味する「噛む」は、芸人さんなどの職業による集団語です。

正解は2です。

R1-Ⅰ-問題11-問2 正解:4

若者言葉について不適当なものが問われています。

4:若者は「T」を「テー」と言いません。年配の方のほうがいいます。

正解は4です。

R1-Ⅰ-問題11-問3 正解:3

ネオ方言について問われています。

ネオ方言は、

3:共通語と地域方言が接触し、二つの形式が混ざり合って生まれた言葉

代表例は「こーへん」です。

正解は3です。

R1-Ⅰ-問題11-問4 正解:1

言葉の男女差が年齢層によって相違することについて問われています。

1:「降るわよ」は20代女性は50代女性ほど使用しません。

正解は1です。

R1-Ⅰ-問題11-問5 正解:3

役割語について問われています。

3:現実の位相や位相差を忠実に再現しているわけではありません。

正解は3です。

H28-Ⅰ-問題11-問1 正解:2

年齢や性差の観点から言語の差異を捉えた方言について問われています。

  1. 階層方言
  2. 社会方言
  3. ネオ方言
  4. 新方言

年齢や性差は、社会方言です。

正解は2です。

H28-Ⅰ-問題11-問2 正解:3

若者言葉の使用目的で不適当なものが問われています。

3:感覚よりも理性に訴えるためではありません。どちらかというと逆で感覚的です。

正解は3です。

H28-Ⅰ-問題11-問3 正解:1

集団語に含まれないものが問われています。

  1. ダイクシス
  2. スラング
  3. 職業語
  4. 術語

ダイクシス・・・直示。言葉の意味が発話状況に大きく依存する表現のこと。例)「これはとてもおいしい。」の「これ」

ダイクシスは、集団語ではありません。

正解は1です。

H28-Ⅰ-問題11-問4 正解:2

隠語の例について問われています。

2:犯人ー「ホシ」は隠語です。

正解は2です。

H28-Ⅰ-問題11-問5 正解:1

特定の人物像を想起させる言葉(=役割語)の例が問われています。

1:知的階級の男性を想起させる「わがはい」が役割語の例だそうです。

正解は1です。

H26-Ⅰ-問題12-問1 正解:3

ピジンの特徴として不適当なものが問われています。

ピジン・・・意思疎通のためにお互いの言語の要素を混成してつくられた言語

のため、簡素化され、単語は多義的です。

3:1つの単語の意味範囲が狭くなく、広いです。

正解は3です。

H30-Ⅲ-問題12-問2 正解:1

東西分布型に当てはまらないものが問われています。

  1. 「散っとる」-「散りよる」
  2. 「聞かない」-「聞かん」
  3. 「雨だ」-「雨じゃ」
  4. 「いる」-「おる」

1:「散っとる」「散りよる」はどちらも西の方言です。

正解は1です。

H30-Ⅲ-問題12-問3 正解:4

周圏分布について問われています。

周圏分布は、

4:異なった語形が文化の中心地から同心円状に分布する。

正解は4です。

H30-Ⅲ-問題12-問4 正解:2

方言コンプレックスについて問われています。

方言コンプレックスとは、

2:自分が使う方言は恥ずかしいと否定的な感覚を持つ。

正解は2です。

H30-Ⅲ-問題12-問5 正解:4

地域方言の指導の留意点について問われています。

4:地域社会で使用頻度の高い表現は、理解語彙として学習の早い時期に導入します。

正解は4です。

H29-Ⅲ-問題14-問1 正解:4

地域方言排除の歴史について問われています。

4:沖縄で罰札を用いた方言矯正教育が行われました。

正解は4です。

H29-Ⅲ-問題14-問2 正解:3

方言が肯定的に受け止められるようになっていることについて不適当なものが問われています。

3:東京周辺地域は他の地域に比べ、その土地の言語を肯定的に捉える傾向が強いとは言えません。

正解は3です。

H29-Ⅲ-問題14-問3 正解:4

方言コスプレについて問われています。

方言コスプレとは、

4:自分が演じたい人物像や雰囲気に合わせて、その時々に方言を用いる。

正解は4です。

H29-Ⅲ-問題14-問4 正解:4

新方言について問われています。

新方言とは、

若い人が標準的でない言い方をくだけた場面で使うこと

4:「めっちゃあつい。」のように、共通語とも伝統方言とも異なり、若年層に多く使用が見られるものです。

正解は4です。

H29-Ⅲ-問題14-問5 正解:2

方言を守る・活用する取り組みについて不適当なものが問われています。

2:文法書や語彙集など子どもに方言を教える教材を国立国語研究所が作成したというのが不適当だそうです。

正解は2です。

H27-Ⅲ-問題12-問1 正解:3

専門用語の例が問われています。

3:手術-オペは、専門用語です。

正解は3です。

H27-Ⅲ-問題14-問1 正解:2

アクセント・音声の方言について問われています。

2:近畿方言では、文末の「です」「す」が無声化しにくいそうです。

正解は2です。

H27-Ⅲ-問題14-問2 正解:1

語彙について方言形の数が少ないものの例が問われています。

1:「目」「口」のような基本的な身体部位を表す語彙は少ないそうです。

正解は1です。

H27-Ⅲ-問題14-問3 正解:1

周圏分布の文法形式の例が問われています。

仮定表現の

  • 周辺-「来れば」
  • 中央-「来たら」

だそうです。

正解は1です。

H27-Ⅲ-問題14-問4 正解:4

混交について問われています。

混交は、方言と方言あるいは方言と共通語が接触することで生じると問題文中にあります。

4:「こーへん(=こない)」のように、二つの形式が組み合わされ、新たな形式が生じています。(=ネオ方言)

正解は4です。

H27-Ⅲ-問題14-問5 正解:2

方言教材の開発で考慮しなくてもよいものが問われています。

2:教材がどの地域でも使用可能な普遍性を持っているかは、考慮不要だそうです。

正解は2です。



【日本語教育能力検定】社会言語学の過去問まとめ

以上、社会言語学のまとめでした。

過去問中に出たダイクシスのまとめはこちらです↓

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