本日の過去問まとめノートは、照応です。
過去問では、照応に関する問題が、
- H26-Ⅰ-問題3-C(12)(14)
- H29-Ⅰ-問題5-問3
- H29-Ⅱ-問題4-3番-問2
- H30-Ⅲ-問題2-問2
にありました。今日はⅡの聴解問題も見ていきます。
このまとめノートを見る前に知ってもらいたいことがありますので、ご覧になっていない方は、まず下の記事からご覧ください。
照応の基礎知識
照応は、赤本P145~に載っています。
結束性
前後の文がどのように関連しているかという文と文の結びつき。
照応
ある文中の特定の語が他の文のどこの部分に対応しているか。
前方照応
前にある語に照応する。例)アイスを買った。それはすぐ食べられてしまった。(それ=アイス)
後方照応
後ろにある語に照応する。例)こんなことがあるなんてびっくり。溶けないアイスがあるんだって。(こんなこと=溶けないアイスがあること)
指示代名詞
人物を指し示す人称代名詞に対して、事物・場所・方角を表す。こそあどや指示詞とも呼ばれる。
現場指示
発話場面で直接、物事などを指し示す用法。(赤本P33)
- コ系列・・・自分の近くにあるもの。
- ソ系列・・・相手の近くにあるもの。
- ア系列・・・両者から離れているもの。
文脈指示
談話の中で話題となった事柄を指し示す用法。(赤本P33)
- コ系列・・・話し手にとって主観的に関連が深いもの。
- ソ系列・・・客観的に関連する事柄。
- ア系列・・・話し手と聞き手が共有する情報。
ダイクシス
直示。言語活動において、発話現場にいなければ意味が成立しない性質のこと。例)これはとてもおいしい。(赤本P34)
照応に関する過去問の解説
H26-Ⅰ-問題3-C-(12)正解:1
文や発話内の文法的構成要素に依存して関連付ける仕組みが問われています。
- 結束性
- 一貫性
- 文法化
- 文脈化
結束性・・・前後の文がどのように関連しているかという文と文の結びつき。
正解は1です。
H26-Ⅰ-問題3-C-(14)正解:1
指示詞には、指示する対象語との関係で何があるか問われています。
- 前方照応と後方照応
- 内の関係と外の関係
- 現場指示と文脈指示
- 取り立てと並列
正解は1です。
H29-Ⅰ-問題5-問3 正解:1
絵カードなどの教材を作る際に、「ダイクシス(直示表現)」に気を付ける必要がある語の組み合わせが問われています。
- 「これ」「あれ」「それ」・・・○
- 「行く」「来る」「逃げる」・・・×「逃げる」
- 「あげる」「もらう」「捨てる」・・・×「捨てる」
- 「朝」「昼」「夕方」・・・全て×
ダイクシス・・・直示。言語活動において、発話現場にいなければ意味が成立しない性質のこと。
1は全てダイクシスです。
正解は1です。
H29-Ⅱ-問題4-3番-問2 正解:a
Ⅱの聴解問題です。
留学生が以下のように言います。(中略あり)
「~という間欠泉が有名です。あの間欠泉は~の高さまで温泉が吹き上がります。
もし私の国にくる機会があったら、ぜひあの間欠泉を見に行ってください。」
この留学生の文法的な問題点が問われています。
- a前方照応の文脈指示
- b後方照応の文脈指示
- c「こ系」の現場指示
- d「そ系」の現場指示
「あの間欠泉」ではなく、「その間欠泉」が正しいです。
前方照応の文脈指示が正しく使えていません。
正解はaです。
H30-Ⅲ-問題2-問2 正解:1
指示詞の文脈指示用法について問われています。
- コ系列・・・話し手にとって主観的に関連が深いもの。
- ソ系列・・・客観的に関連する事柄。
- ア系列・・・話し手と聞き手が共有する情報。
1:話し手も聞き手も直接知っている物事を指示する場合は、ア系指示詞を用います。
例えば、「またあの店行こうよ。」「いいね、行こう。」などです。
正解は1です。
照応/前方・後方照応、結束性まとめ
以上、照応のまとめでした。
聴解問題も文法知識がたくさん問われるのだなと思いました。
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